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豪華客船インテリア画集・カラースキーム 三菱重工業株式会社船舶技術部編 明治・大正・昭和の三代にわたる客船のインテリアデザイン

往時の華麗な客船のインテリアデザインの原画が、幸いにも戦果を免れて、当社に沢山保存されています。塵埃を払いつつ一枚一枚カラースキームをめくっていくと、その絵のいずれにも当時の設計者が心血を注いで採色した筆の跡があり、見る者をして熱い感動さえ覚えさせることです。
中には、現在にも十分に通用する新鮮な感覚のデザインも数多くあり、また、当時の設計者の豊かな感性と創作意欲を強く感じさせる力作もあります。
これらのカラースキーム、を非公開のまま社内に眠らせておくのは惜しい 、という声が社内外にあり、また公開して欲しいとの要望が各方面からも寄せられていました。また、明治、大正、昭和の三代にわたる客船のインテリアデザインは、日本のインテリアデザインの歴史を埋める重要な要素でもあるので、研究資料としても広く一般に公開することが望ましいとのことばも建築家から寄せられました。
この度、長崎造船所、横浜製作所に保管されていたカラースキームの中から、それぞれに一時代を画した代表作を選んで、画集として出版することになったわけです。
本画集が、客船や一般建築のインテリアデザイン等の仕事に携わっている方々、また其の研究をされている方々、更には、広く船を愛する人々にご利用いただけ、また鑑賞していただければ、幸いです。

敗戦と共に、これらの客船は消えてしまい、その華やかさを偲ぶよすが乏しく、幻の船となるのかと寂しく思っていたところ、インテリアデザインのカラースキームが残っていて、今般、之が画集として交換されるというのは、極めて有意義なことである。
しかも当時、この一連の客船設計の責任者であった加藤さんと、船首監督であった中西さんが監修してくださったことはこの上もない光栄であり、ありがたいことである。お二方は90歳前後になられたが、今も大変お元気である。
この画集は当時、客船の建造に携わり、戦争が激しくなって、これを航空母艦に改装し、戦没の悲報に、涙に○んだ私たちには、特に感慨深いものがある。
この画集により、当時の人たちの情熱と精進、客船の華麗豪華さをよく読みとっていただければと願っている。

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